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ホタル飛翔・観測記【2012年6月2日】

我々観測隊は午後8時近く、ベース基地を出発した。
夕食は済ませた。前回の金環日食観測の轍を踏まない為である。空腹は、観測の最大の敵である。

以前から、ここ松崎町にはいくつかホタルを観測できる地点があるのは分かっていた。
いつか見に行こうと思いつつ、気がつくと時機を逸していたりしてなかなか見に行けなかった。

そもそも、ホタルに対する知識が絶対的に不足している。
ホタルの飛翔時期はいつなのか。時間帯は何時頃がいいのか。

以前、それでも重い腰を上げてホタルを見に行ったことがある。場所は岩地の大駐車場近く。手作りっぽい看板で「蛍の里」と書いてある所だ。

その時は、日没頃の時間帯、辺りがまだほの明るい頃に行った覚えがある。確かにホタルは飛んでいたが、大した数ではなかったし、辺りがまだ暗くないので見応えもない。蚊も多かった。なので早々に退散してしまった。

また雲見の花沢園という場所もホタルの名所と聞いて行ったことがあるが、同様に時間が早すぎてホタルはあまり見ることが出来なかった。

これら、過去の失敗を教訓にまずはググってみる。
そして見つけたのはこちらのサイト。

 「NPOホタルの会」

へー、NPOってこんなのまであるんだ。
しかもそのサイトは明らかにプロの手になるもので、見栄えも良く内容も充実。その本気度を感じる。

このサイトによると、飛翔の時間帯は「日没1時間後くらいから光り始め、午後7時半頃から午前4時頃まで、一夜に3回の光の舞いを見せてくれます。ピークは午後8時過ぎ、午前0時頃、そして午前3時頃です。最も活発なのは1回目で、活動する時間も長くなっています」とのこと。

そうか、今までは日没直後に行っていたからあまりいなかったんだ!
何故日没がいいと思ったのかは自分でも不明であるが、その間違った思い込みをここで払拭することが出来た。

次に飛翔時期である。上記サイトによると

「(関東の例)
ゲンジボタル:6月上旬~7月上旬
ヘイケボタル:6月中旬~8月上旬
ホタル前線は、4月中旬沖縄から始まり、8月下旬の北海道まで、約4ヶ月をかけて、桜前線のように日本列島を北上します」

ふむふむ。しかしこれでは松崎町の見頃がいつか分からない。
ところが有益な情報は思いがけない所からもたらされた。
ホタル飛翔・観測記【2012年6月2日】_f0053895_10163117.jpg


時々、ポストに投函されている地元NPO発行の「夕映新聞」である。これに「蛍の里になりつつある町」という記事が掲載されており、観賞時期は5月下旬から6月中旬と載っていた。

今じゃん!

そうか、まさに時は今。ジャストナウ。
晩飯のあと、ビール飲んで寝っ転がってる場合じゃない!
あ、でも、もうビール飲んじゃった。運転できない・・・。

幸いなことに観測隊のもう一人のメンバーは今日は飲んでいなかった。

こうして我々は入念な情報収集の果てにいざ観測へと出発したのであった。

観測地点は、今回初めて訪れる場所である。これも夕映新聞を参考にした。
今までに行ったことのある岩地や雲見など三浦(さんぽ)地区ではなく、町を流れる那賀川沿いにも観測地点があるらしい。

ベース基地を出発後、5分ほどで到着。
その場所は地区の公民館の裏手らしい。事前に公民館の場所も確認しておいた。

公民館の手前に車を停める。前方には何やら大勢人がいる気配。手に小型のライトを持っている。間違いない。これは別の観測隊に違いない。我々も車を停めてそちらへ向かう。

・・・あれ?
もう帰っちゃうんだ。場所はどこなのかなー。

とりあえず公民館の裏手をのぞいてみると、小さな農業用水路がある。
その脇にある小道を入っていくと・・・。

いた!数匹のホタルが飛んでいる。美しい。
しかし川をはさんだ目の前はアパートの裏手だ。ここの住人は窓を開ければ部屋の中からホタルを観賞できる。すごいなー。そして川のこちら側も民家の庭先だ。さっきからふんふんと鼻を鳴らす音がする。わんこがいるのかな?よかった。吠えられなくて。

おや、ホテルの名前入りのバンが2台ほど入ってきた。どうやら宿泊客を蛍狩りに連れてきたらしい。こんな狭い所に大勢入れないぞ・・・。

車から降りた大規模観測隊はぞろぞろと我々がいるのとは違う方向へ歩いて行く。
そうか、ホタルの観測ポイントはここじゃないんだ。我々も急いであとを追う。

しばらく歩くと、少し開けた場所に出た。
そこには遠目にもたくさんのホタルが飛んでいる様子が分かった。先ほどのアパート裏の比ではない。大規模観測隊の観光客達も思わず感嘆の声を発している。

しばらく見とれていると、大規模観測隊の引率者(ホテルの従業員)が、もう少し先に進むよう、皆を促した。え、この先にもあるの?

薄暗い小道を進む。左手はもう山すそだ。そして右側は用水路。その向こうには田圃やら雑木林やらが広がっている。進むにつれてホタルの数が増す。何十、いや何百という数かも知れない。

一行が立ち止まった。それ以上先には行けないようになっていた。
そしてそこから見える光景は、現実とは思えないほど幻想的だった。

この場所にいるのはゲンジボタルらしい。このホタルは集団で一斉に光を発する。
闇の中、音はなく静かだ。

そして暗がりの中にゆうらりと淡い緑の光がたくさん点灯し、舞う。消える。
静かに、粛々と厳かに、ホタルたちは飛んでいる。

涙がこぼれそうになった。
なんだろう、この感動。

小さな生き物の、果てしない生の営み。
一時は消えかけたが、地元の人達の努力によって、ここまで回復した静かなる光の祭典。

「すごい・・・」

他に言葉は出てこなかった。無意識のうちに何度もこの言葉を繰り返していたらしい。周りの人達も同様に「すごい」を繰り返していた。

え、写真は無いのかって?
そりゃ、撮りましたけどね。何しろ手持ちのコンデジじゃぁ、せいぜいこれが精一杯でした。
ホタル飛翔・観測記【2012年6月2日】_f0053895_10162751.jpg


見頃は今月中旬まで。
ホタル観賞のついでにダイビングのご予約をどうぞ。m(_ _)m

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