減圧症?と疑うその前に

ここ数年、僕の周りでも減圧症になってしまった、という話をよく聞くようになりました。
その一方で、僕はプロのガイドですからシーズン中は毎日潜りますし、ゲストの数が多い時は一日に4本、5本と立て続けに潜ったりもします。そんな自分がならないのに、普通のダイビングをしただけで減圧症になる物だろうか、との疑問があったのも正直なところです。

そんな疑問に、ひとつの回答を与えてくれる雑誌記事を見つけました。
「マリンダイビング」11月号(現時点での最新号)に掲載の「せい子のダイビング110番『その症状、本当に減圧症ですか?』」です。

この記事によると、そもそも減圧症の症状とははっきりとしたもので、ダイビング終了後20分以内に海岸で倒れてしまったり、腕が倍以上に腫れてしまったりするものだそうです。
逆に言えば何となく痛い、しびれる、といったケースはほとんどが減圧症ではない、と考えられるそうです。

この記事では、ネットに氾濫する体験談の功罪についても触れられていました。上記のようななんとなく減圧症かも、と漠然とした不安に悩まされている時に、ネットを検索して様々な体験談を読めば、そりゃぁ不安にもなり、やがては自分は減圧症だと思いこむに至ってしまう、というのです。

ちなみに、このせい子先生のクリニックにも、こうした「減圧症かも」という疑いを持ったダイバーが大勢来るそうですが、今夏は一人も本物がいなかったそうです。
ダイビングから帰ってきて、数日間悩んだあげくに来院する。名前を呼ぶと元気な返事があり、自分でドアを開けてまっすぐに先生の所まで歩いてくる。この時点でせい子先生は「まず違うな?」と思われるのだそうです。本物なら来院するまでの数日間に、普通に仕事をしたり、自分でクリニックに来院することは出来ないはずだ、とも。

ダイビングに行けば普段使わない筋肉を使ったり、緊張したりして、肩こりになったり筋肉痛になったり、といったこともあるでしょう。肩がこれば腕や指先がしびれる、といった症状も出るわけで、それを減圧症かも、と必要以上に深刻に捉えて病院へ行く。

行った先でしびれなどの不定愁訴を訴えれば、疑わしきは減圧症、ということになり、まずはチャンバーヘ、という運びとなります。

しかしせい子先生曰く「減圧症でないのにチャンバーに入ることは百害あって、いいことは」なんにもないんだそうです。

ここで先生は活性酸素の危険性を訴えています。ただでさえ、ダイビングをするということは高圧の空気を吸って運動をしますし、日焼けでも活性酸素が増えます。自分が減圧症では、と疑っている人はそのストレスからさらに活性酸素を増やしてしまう結果になるのです。

そこへだめ押しのようにチャンバーヘ入って高圧の酸素を吸う治療を行うわけですから、活性酸素が体内に相当たまってしまうわけです。

僕は、活性酸素がそもそもなんなのか、こいつが増えると、どう体に悪いのかピンと来なかったので、Wikipediaで調べてみました。一部引用します。

「活性酸素・フリーラジカルは生命を維持するために無くてはならないもので、(中略)しかし全ての活性酸素・フリーラジカルが水になる訳ではなく、余った活性酸素・フリーラジカルは細胞に損傷を与える。」

さらにせい子先生の記事によれば、「活性酸素は老化や種々の病気の原因」だし「正常細胞を破壊するのは当たり前」で、さらには「ガンのスイッチが入ったりする可能性もある」とのこと。
おお、コワイコワイ。何事も過ぎたるは及ばざるがごとしってわけですね。

なるほど。ではダイビング後に「減圧症かも」と不安な日々を過ごさないようにするにはどうすればいいのか。

● ダイコンでDECOを出さない。
● 水面休息は長めに取る。
● なるべく日光を避ける。
● 水分を多めに取る。

● 一番問題なのは早すぎる高所移動。これを避ける為にダイビング後はゆっくりとお茶でも飲みながらロギングや片づけをして、充分時間をあけてから出発する。

● 海外など、飛行機に乗る予定のある人は、しっかりと時間をあける。
● 熱い温泉や激しい運動なども問題視されているが、温泉で減圧症にかかった例は未だに無い。しかし熱い温泉に飛び込めば血管が収縮するので引き金にならないとも限らない。

● またインターバル中に運動不足を解消しようとして遠泳し、減圧症を発症した例がある。ダイビング中の激しい運動は控えるべき。

上記のようなことに気をつけていれば、アマチュアのダイバーが減圧症を発症するリスクは低いと言えます。どこでダイビングするにしてもスケジュールには充分余裕を持ち、無理をしなければ安心なんですね。

せっかくの楽しいダイビングが不安の種とならないよう、上記のようなことを参考にしていただければ、と思います。
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by idive | 2008-10-30 10:35 | 海の話
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