意外に知らない「減圧症」のこと。
ダイバーにとって常につきまとう減圧症のリスク。
しかし意外にこの減圧症について正しい知識を持っている人も少ないですね。 これ、どの指導団体でも必ずオープンウォーター講習の時に教えていると思いますが、何しろ普段の生活にぜんぜんなじみのない物理法則の話なので、その時は分かったつもりでも、時間の経過とともに忘れちゃってる人も多いでしょうね。 なので、ここでざっとごく簡単に減圧症のおさらいをしておきたいと思います。 ホントにざっとなので、詳しいことをもっと知りたい方は最寄りのインストラクターまで。 もちろんワタクシでも構いません。f ^ ^ *) さて、まず減圧症を語る上で欠かせないのが「ヘンリーの法則」。 あ、誰ですか、「なんとかの法則」って聞いただけで眠気がしてきた、って人は? ここ頑張って乗り越えて下さい。そうすれば、もう減圧症はあなたのものです。 「ヘンリーの法則」 液体と気体が接しているとき、気体は液体に溶け込みます。 温度が一定であればその時の気体の圧力に比例して飽和状態になるまで溶け込みが続きます。 言い換えれば、周囲の圧力が一定であるとき、気体の溶け込みは飽和状態で安定していることになります。 これをダイバーの体に適用して考えてみます。 人体は陸上では大気圧という圧力下で、「血液」という「液体」が「空気」という「気体」と接している、と考えられます。 空気は主に酸素と窒素からなる混合ガスです。 酸素も窒素も同様に血液に溶け込みますが、酸素は体内で消費されてしまい、窒素だけが残ることになります。大気圧下では、窒素は成人の平均で約1リットルが体内に飽和状態で溶け込んでいる、と言われています。 ダイバーは水中に潜ることにより、より高い圧力に身をさらします。 そして呼吸する空気の圧力も、周囲の圧力に比例して高くなります。 すると、大気圧下で平衡していた気体の溶け込みが開始され、より多くの気体(ここでは主に窒素)が体内に溶け込むことになります。その量は高圧下にいた時間と圧力に左右されます。つまり深い場所に長い時間滞在すると、より多くの窒素が溶け込む、というわけです。 仮に飽和状態になるまで潜水を続けたとします。 水深10mでの絶対圧は2気圧。ということは窒素の溶け込みも2倍の2リットルで平衡状態になると考えられます。 水深20mでは3気圧で3リットル、というわけですね。 窒素は体内でまったく活用されない不活性ガスですから、溶け込んだ余分な窒素は排出しなければなりません。 ダイバーが徐々に浅い水深に移動すると、周囲の圧力も低くなります。すると溶け込んだ窒素は、主に呼吸によって徐々に排出されていきます。そして、もし余分な窒素が充分に排出し切れていない状態で浮上してしまうとどうなるか。 その窒素が体内で小さな気泡を形成してしまい、その気泡が血流を止めたり、神経などの組織を圧迫するなどして様々な障害が起こってきます。これを称して減圧症と言っているわけですね。 わかりやすい例としてよくたとえに使われるのが、コーラなどの炭酸飲料です。 コーラのビンの中は約2気圧の飽和状態で二酸化炭素が溶け込んでいます。ビンのふたを開ける以前は飽和状態となっているので泡は出ていません。 しかしビンのふたを開けると圧力は一気に大気圧の1気圧まで下がります。その結果、過飽和状態となった二酸化炭素が一気に排出され、泡となってシュワ〜と出てくるんですね。 つまりこれと同様のことが人体に起こると、減圧症になる、ってことなんです。 さて、減圧症の起こる仕組みについて、大ざっぱに解説してみましたがいかがでしたか。 おわかりいただけたでしょうか・・・?(*^^*)
by idive
| 2011-02-06 12:11
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